いま九州でも世界遺産登録の動きが顕著で、宗像沖ノ島、大牟田炭鉱関連、端島(軍艦島)
などの登録に続き、長崎・五島市も「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の登録を目指して「五島を世界遺産の島に!」との思いを強めています。
登山クラブは、九州百名山の一つである五島福江島の七ツ岳・鬼岳・箕岳の登山と、島内にあるいくつかの教会や名所を訪ねてみることにしました。
実 施 日 10月29日(木) 野母商船フェリー太古・博多埠頭出航23:45〜
10月30日(金) 8:15長崎五島福江港接岸=島内観光 参加16名
10月31日(土) 観光G 8名フェリー太古・福江港出航10:10〜17;50博多帰着
同 登山G 8名 七ツ岳・鬼岳・箕岳登山
11月1日(日) フェリー太古・福江港出航10:10〜17:50博多埠頭帰着
島内観光 30日(金)8:40福江港ターミナルより島内観光に出発
(ジャンボタクシー2台・8名ずつ2班に分ける)
観光コース
=大瀬崎灯台(玉の浦地区)〈日本の灯台50選・日本の夕陽100選〉
東シナ海に突出した断崖の突端に立つ白亜の灯台は、九州本土最西端に位置し、灯台としての規模は大型。光力は200万カンデラ、日本屈指の光達距離(約50km)を誇り、日本の西の海の航海安全を守っている。激しい風雨に打ちさらされ浸食された断崖絶壁の景観は壮大で美しい。
日本最後の夕陽が見れる場所で、夕陽観賞会が12 月31 日に開催される。映画「悪人の重要なシーンのロケ地」。
=井持浦教会・ルルド (玉の浦) 聖母マリアが18回出現したという、南フランスのルルドの町、マッサビエル洞穴を模して作られたもので、日本最初の霊泉地。1899年創建。
=大宝寺(玉の浦)〈国指定重要文化財〉
空海が唐より帰国して三論宗を真言宗に変えた。最澄が寄進した仏像、左甚五郎作の彫刻、江戸宝暦時の十二支、六百年以上経た〈県文化財〉など貴重なものが多い。
=魚籃観音展望所・高浜ビーチ(三井楽)を眺望〈日本の渚100選〉白砂と蒼い海が美しい。=道の駅遣唐使ふるさと館(昼食:ふるさとバイキング1,080円・いろんな郷土料理と、名物の“五島うどん”も食べた)
=水の浦教会(岐宿)木造教会堂としては最大規模の白亜の天主堂。青空に尖塔が聳える光景は美しい。
=魚津ヶ崎(岐宿)〈遣唐使船日本最後の寄泊の地〉「肥前風土記」に記載あり。
=堂崎教会(福江)〈県指定有形文化財〉明治12年にマルマン神父によって五島における最初の天主堂が建てられた。現在の天主堂はペルー神父によって明治41年に建てられた五島最古の洋風建造物。赤レンガ、ゴシック様式はヨーロッパの典型的な教会スタイル。カクレキリシタン時代の資料等も展示。拝観料 大人300円。
=明星院(福江)〈明星院本堂・日本遺産認定〉、国指定重要文化財、県指定有形文化財(建物)五島家代々の祈願寺。現在の本堂は第28代盛運公が安永7年(1778)に建立、五島最古の木造建築物。本堂格子天井の花鳥の絵は、異国の花鳥と思われる絵も多く、狩野永徳の高弟大坪玄能の筆で描かれている。院内には鎌倉室町時代の仏像仏具が多く、中でも護摩堂には、国指定重要文化財の銅造(薬師)如来立像、県指定有形文化財の木造阿弥陀如来立像が安置されている。※本堂に上げて頂き参拝後、詳しい解説をして頂いた。
=鐙瀬ビジターセンターでVTR観賞の後、展望所へ歩き、鐙瀬溶岩海岸(鬼岳火山から流出した溶岩が延々と流れ込み、黒い岩肌が十数km続く変化に富んだ海岸線)を眺望。火山溶岩のゴツゴツとした奇岩や、海水に洗われ浸食された岩礁をカメラに収める。
=鬼岳園地(福江)全山が芝生に覆われた美しい臼状の火山。鬼岳インフォメーションセンターの駐車場まで車で行き、長いコンクリートの階段を上がり、その先の展望所までの草原を登り福江の町並み、海岸線の島々を眺望し、脇に鎮座する神社に登山の安全を祈願。
=福江市内=福江城(石田城)跡(三方が海に臨む我が国唯一の海城で、黒船の襲来に備えて国防のため、江戸時代最後に築城)=武家屋敷通り(石垣塀に積まれた手のひらサイズの丸みを帯びた扁平な“こぼれ石”が特異。いざというときは武器代わりに…投げ付ける!のだそうだ)。
=富久屋旅館(宿泊) 玄関に着くと扉にはきれいな筆文字で大書された
歓迎 パナソニック 松九会 登山クラブ様 との掲示があった。
夕食はさすがに五島・海の幸!! 豪華な魚の刺身料理などが並ぶ。旅館を予約した時に料理の打ち合わせをさせて頂き、珍味の“はこふぐの味噌焼”をお願いしたが“今は漁が揚がっていない”と云うことで半ば諦めていたが、“今日は入りました。もう料理しています!”とのことで、ビールと五島の芋焼酎でカンパーい! 美味しく頂く。
各部屋にはいろんな書の額が飾られ(ほとんど読めない)が、宿の主人が書道教室の先生をされているとのことで納得。
翌朝の食事後には部屋にそれぞれ「五島うどん」のお土産が置いてあった。
10月31日(土) 七ツ岳(431.5)・鬼岳 (317)・箕岳(144)登山
(メンバー)澤田S、信岡、大M、澤田R゜、石内゜、友清゜、林゜、藤井T(8名)
●七ツ岳登山:宿の主人に港まで送ってもらいターミナルのお土産屋で弁当を調達し、30分ほどで七ツ岳登山口バス停(公園)に着く。車は数台駐車でき、トイレも男女設置されている。登山口はすぐ横で[草づみ地蔵堂]と書かれた鳥居のような門がありここからスタート、階段が続くいきなりの急登をジグザグに進む。やがて本来の土の山路となるが、急な坂道は続く。やがて自然歩道の標識に沿って右折、狭くなった尾根道を登り下りしながら大きな岩場へ着く(小ピーク)。
小ピークから少し下降し、再び登りになると視界が少しずつ開けてきて、さらに岩場の連続する急坂を登り詰め、最後の岩場を乗り越えて一直線に尾根を突き上げる。花崗斑岩の裸岩帯で西側は岩壁となって切れ落ち、登りつめるほどに視界も大きく開け七ツ岳山頂到着!。三角点のある山頂は我々だけでいっぱいになるほどに狭いが、周囲の山々もこれから先の七ツ岳の残りのピーク(ホルンフェルス・角の岩峰)も見渡せ、東シナ海を望み展望は素晴らしい。
下りはルートの中で最大の難所である、先ほどの山頂直下の大岩の斜面を、岩場の基本動作である三点確保で、登山靴の位置を右だ左だと指示を受けながら、ゆっくりと慎重に下降する。あとは登ってきた自然林の中を快適に下り、やがて「草づみ地蔵堂」の建物の前に着き、お賽銭を上げカギのない扉を開け堂の中を拝見。6畳ほどの畳が敷かれ、右奥に地蔵が祀られ提灯も下げられている。軒先には年代物の赤色をした灯油ランプが吊られていた。宿泊も出来るのだろう。一休みして迎えのタクシーで鬼岳へ向かう。
●鬼岳登山:時間はもう12時だが昼食は頂上でとそのまま登ることにした。乗務員は“次の箕岳には数年前に行ったきりなので下見に行ってきます”と気にしてくれ下って行った。 今日は曇りで風が強くやや寒い。昨日登った芝の草原道を時計回りに頂上を目指す。柔らかな芝を踏み登ると、やがて芒を分けた防火帯の道となり、ちらほらと秋の草花が眼に入る。薄いピンクのサイヨウシャジン、ウメバチソウと思ったのは白いノイバラ、真っ黄色のアキノキリンソウ、ツワブキの黄色い花、特筆は可憐なリンドウの花! 濃い青紫の花びらの先端が5裂に開き、あちこちの草叢の中に幾つも顔を覗かせている。みんなカメラのシャッターを切りながら楽しく登って行く。新発見は“オオバナセンダングサ”(友清談)という珍しい花で、咲き終わって種子を付けたような感じである。
山頂も樹木はなく風を避け芒を背にしながらの昼食。眼下には海岸線が広がり、鐙瀬溶岩海岸から左の方向(西)の島の突端に、これから登る箕岳と臼岳の小さな山が並んで見える。北側には「福江つばき空港」に今着陸したばかりの小型ジェット機が、空港ターミナルへ向かってランディング中。時折雲間から陽も射して暖かくなってきたが、次の山への移動のため下山する。
鬼岳は全山が芝生に覆われた美しい五つの臼状火山群(鬼岳、火ノ岳、城岳、箕岳、臼岳)の主峰で、五島のシンボル的存在。市民の憩いの場となっている。毎年5月3日はバラモン凧あげ大会が開催され、凧は色鮮やかで、複雑な骨組みをしており、鬼に立ち向かう武者の後ろ姿の兜を描いている。上部の鳴弓うなり音と共に五島独特の勇壮な凧で、以前実況をTVで見たこともある。日本のパワースポット100選。
●箕岳登山(本日3つ目):登山口へ下りて、迎えのタクシーで箕岳園地入口のその先の駐車場へ。乗務員が“私も途中まで…”と登山口まで先導。園地の芝生の平らな広場は火山の火口底であって、周囲にはサクラの木がずらりと植栽されて、市民の花見の名所だそうだ。芝生の広場を横切って舗装された遊歩道から階段へと続き、電波塔を過ぎ箕岳の頂上に着く。144mの低山ながら展望台に上がるとグルッと360度の見晴らし、鬼岳はどっしりと構え南に裾を落とし鐙瀬溶岩海岸へ続き、青い海には遊漁船が白波の航跡を立てながら高速で走って行く。
登って来た道を下りタクシーで宿に戻り、温泉行きの準備をして宿の主人に「五島コンカナ王国・鬼岳温泉」へ送って頂き(入浴料は宿持ち?)、今日3山の登山の疲れを1時間ほどゆっくりと汗を流し疲れを癒す。温泉は褐色の天然温泉だが凄く塩分が強かった。
宿の車で戻る時、途中で太陽が沈みかけ眩しいほどに輝く。鬼岳も夕陽を浴び緑の芝生が赤みを帯びて染まって行く。夕食にはブランドの五島牛のステーキ、アワビに似たトコブシの薄切りの酢漬けも美味しかった。
●11月1日(日)朝食を済ますと、“帰りの船の中でお昼にでも食べて”と“赤飯おこわ”弁当のサービス、そしてまたテーブルに「五島うどん」が並んでいる!。誰かが“今日も?”と云うと、仲居さん“昨日も出たの? 即・かいしゅー、回収−!”と来た。みな爆笑…。
そしてコーヒーをと、下からワゴンごと全部を2階へ持ちあげてきてくれた。この宿、サービスが良く気持ちいい。それで1泊2食7,500円なり!
港まで送って頂き暫く乗船(10:10)を待つ。帰りは昼間の航行なので、デッキヘ上がって島々の風景(100数十あるそうだ)を眺めたり、若松大橋の写真を撮ったり、横になったりと思い思いに過ごす。が、昼間の航行は時間が長い。特に唐津・呼子あたりを過ぎてからが長く感じた。
船内にゲームルームはあるが、じいじ・ばあばは扱えない。こんな旅には自分で昔馴染みの、トランプや何かを持ってきたら、と思った。
やがて夕闇の博多湾を進み、明るいネオンの灯る博多埠頭に接岸、楽しい山旅を終えた。
雨にも遭わず、アクシデントもなく、みなさんお疲れ様でした!
藤井哲夫 記
( 写真:
澤田眞次)
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